透析液組成について

ナトリウム濃度

細胞外液,血清で需要な陽イオンであり,透析治療が必要な腎不全では,腎臓からの排出経路が失われるため,体内に蓄積するイオンです。

透析治療の初期には,透析液のナトリウム濃度が血液中のナトリウム濃度より低く設定され,半透膜での核酸により血中からのナトリウム除去してきましたが,ダイアライザや透析機器の性能向上により血液に多く含まれるナトリウムは半透膜を介した拡散よりも,半透膜による濾過で取り除くことが可能になった。

そのため,現在の透析液ナトリウム濃度は,血漿中のナトリウム濃度とほぼ同等かやや高く設定されていることが多くなった。

カリウム濃度

腎機能の低下とともにカリウム排出に障害が発生するため,透析患者においてカリウムは除去すべきイオンである。カリウムの上昇は,心筋刺激伝導系への抑制作用から心停止を引き起こす。そのカリウム除去は透析治療における重要な項目となっている。

主流の一つとして,透析液のカリウム濃度は2.5mEq/Lがあったが,現在の透析患者で使用し続けた場合,透析でのカリウム除去が十分に行われず,高カリウム血症を起こす症例が増えてきた。影スロポエチン使用による社会生活の向上に伴い高カリウムが起きやすく,特に食事管理の悪い患者,透析治療が安定して行えない患者,透析時間や回数が少ない患者では,その傾向が多くみられる。

これらの理由により,カリウム濃度2.0mEq/Lの透析液を使用し,拡散での除去を増加させることが多くなってきている。しかし,導入時の患者や,カリウム濃度があまり上昇しない患者など,透析開始のカリウム濃度がたかくない場合では,逆に透析終了時のカリウム濃度低下しやすくなる。それは低カリウム血症になる場合もあり,カリウム濃度の調整が必要となる。

カルシウム濃度

低カルシウム血症は腎性骨症の原因になるので,これらの是正は需要であり,不足することないように適切に維持する必要がある。しかしながら,透析液のカルシウム濃度は,血中カルシウム濃度より低く設定されている。これは血液中のカルシウムの約半分はタンパク質と結合しており,透析に関係するカルシウムは残り半分の結合していないカルシウムとなるため,その濃度に調整されている。腎不全により不足しているカルシウムを補うために透析液のカルシウム濃度は3.5mEq/L前後が望ましいと云われていたが,最近では,高リン血症の抑制に使われていた水酸化アルミニウムの経口投与から重炭酸カルシウムに替わり,経口のビタミンD製剤と相まって透析液のカルシウム濃度が3.0~3.5mEq/Lでは,高カルシウム血症を起こす場合がある。

そのため,透析液でカルシウムを補充することなく,逆に除去を視野に入れたカルシウム濃度が2.5mEq/Lと低めな透析液が市販された。さらに近年では,より患者に合わせた選択性を持たせるため2.75mEq/Lなど細かい調整された透析液が市販されるようになった。

アルカリ化剤

透析患者は,通常アシドーシスになっており,透析により是正する必要がある。そのため透析液にはアルカリ化剤が必要となる。

初期のころは,アルカリ化剤として重炭酸が使用されていたが,濃度の保持や炭酸カルシウムの析出などの問題により,使用が簡便な酢酸が用いられるようになった。酢酸は代謝速度も速く,効率よくアシドーシスを是正することが可能であるが,患者の多様性や高効率に伴い酢酸の持つ準起案奇形への影響や酢酸不耐症の問題も起きることになった。そのため,酢酸の使用を減らし,より生理的な重炭酸を使用する透析液が再び移行した。

ブドウ糖

透析液では電解質などの調整を行った場合,透析液の浸透圧は血液の浸透圧より若干低くなる。そのため,浸透圧を調整するためブドウ糖を用いられていたが,酢酸透析液から重炭酸透析液への移行に伴い,透析液中の細菌繁殖を防止するためい透析液にブドウ糖を含まないようした。

しかしながら,血漿中のブドウ糖の損失や糖尿病性腎不全患者の増加のため,低血糖がたびたび起きたため,今では100~150mg/dL程度のブドウ糖が不可されている。※一部の透析液には含まれないのもある。

マグネシウム濃度

マグネシウムは蓄積する傾向になる。透析で除去するべきイオンの一つである。従来のマグネシウム濃度は1.5,Eq/Lの透析液が多く用いられてきたが,この濃度では多くの患者で高マグネシウム血症が継続するため,1.0mEq/Lの透析液が一般化してきた。

しかしながら,マグネシウムイオンの働きは,さまざまにところで関与しているため,極端に食事量が不足する場合など低マグネシウム血症となる場合がある。

クロール濃度

クロール異音に関してはあまり検討されていないといえる。透析液組成で必応なナトリウム,カリウム,カルシウムなどの陽イオンを塩化物で計算した時の総計が100mEq/L程度となり,血液中の正常値に近い値となるのでそのまま使用している。通常の透析治療において,クロールの過剰もしくは不足で臨床症状を現すことがないため,あまり検討されていない。