水中の不純物のほとんどを治療上問題ないとされるレベルまで除去することができる。
RO膜を介して一次側溶液に浸透圧を加えることにより,水成分がRO膜を介して濾過する現象を利用した膜分離法(RO法)です。
この方法により水道水中の溶解イオン,有機物,バクテリア,パイロジェンなどを,ほぼ完全に除去することが可能で,透析用水を作製する上で必要不可欠な装置です。
RO濾過膜の処理能力には寿命があるため,供給される一次側水の水質や形状を理解したうえで設計と管理をしなければなりません。
RO膜を一本交換するだけでも数百万円はします。
一般にRO装置では透過水の回収率を50~75%に設定します。
透過水の回収率は回収率(%)=(透過水量/原水供給水量)×100
で表され,これは供給水量に対し,50~75%の透過水を採取し,膜を透過しない残りを濃縮水として排水することを意味します。
回収率を高く設定すると,一次側の溶存成分が膜表面で濃縮し細菌やシリカなどの物質が析出します。その結果,膜の透過性能が低下することになります。
突然,RO膜圧が上がったりして正常運転が困難になる場合があります。またRO膜は高価なため,急に準備することも困難です。普段から,毎日の点検し記録する必要があり,早期にその変化を見つける必要があります。
RO装置の管理に透過水の質を担保ととして,毎日の伝導度測定の記録が重要となります。
通常は,RO装置に内蔵された伝導度計を用いて透過水の水質を確認します。装置の基準を超える可能性がある場合には,装置の再点検を行い修復が不可能の場合には速やかに膜の交換を行います。
安定した透過水量を得るためには,流水する原水温も影響を及ぼします。通常は,RO一次側で25℃前後に加温して用いるようです。
RO膜の性能低下の原因となる膜表面の汚染物質や析出を除去し,透水性能を維持しかつ寿命を延ばすには,定期的な膜交換が必要となる。
RO膜の洗浄は,汚染物質の低圧,大流量の供給水で洗い流し除去するブラッシング法と薬液等による洗浄があります。
実施する場合は,メーカの推奨する方法に準じて施行しなければなりません。しかし,RO膜の洗浄効果は一時的な場合が多く,中長期的にはRO膜の交換も行う必要があります。一般的には3年を目処としてRO膜の交換を行う所が多いようです。(透過水量によって異なる。)
なお,水質の良好な地域では,RO膜の透過性能が5~6年劣化しないこともあるようです。日常的に透過水の伝導度や水量はチェックし記録しましょう。
RO 装置 |
|
アルミニウム | ○ |
クロラミン | × |
銅 | ○(※1) |
フッ素イオン | ○(※1) |
硝酸性窒素 | ○ |
硫酸イオン | ○ |
亜鉛 | ○ |
カルシウム | ○ |
マグネシウム | ○ |
カリウム | ○ |
ナトリウム | ○ |
ヒ素 | ○ |
バリウム | ○ |
カドミウム | ○ |
クロム | ○ |
鉛 | ○ |
水銀 | ○ |
セレン | ○ |
銀 | ○ |
鉄 | ○ |
マンガン | ○ |
遊離塩素 | × |
パイロジェン | ○ |
細菌 | ○ |
微粒子 | ○ |
(※1)原水中の濃度が高い場合には,基準水準に達しないことがある。