腎性貧血について

腎性貧血について


< 定義 >

腎臓でのエリスロポエチン産生の相対的低下によって引き起こされた貧血。

本来であれば,ヘモグロビンの低下に見合った量のエリスロポエチンが産生されるのですが,十分量のEPOが産生ができない。


< 原因 >

・エリスロポエチン産生の低下 (主因)
・赤血球寿命の短縮
・鉄代謝の障害
・栄養失調
・透析で起こる回路内残血


< 診断 >
~59歳 60歳~69歳 70歳~
男性 13.5g/dL 12.0g/dL 11.0g/dL
女性 11.5g/dL 10.5g/dL 10.5g/dL

 


< 解説 >

赤血球造血の抑制

尿毒症性毒素が血液中に増加することで赤芽球の造血が抑制され貧血が進みます。

 

赤血球寿命の短縮

・30~60%程度短縮するといわれ,その原因は赤血球膜の浸透圧脆弱性であったり,変形能の障害,赤血球代謝障害などがあげられます。

 

鉄代謝の障害

・炎症性サイトカイン(IL-6)を介して肝臓でのヘプシジン合成が亢進し,血中ペプシジン濃度が上昇することが知られている。その増加が血清鉄の低下と細胞内鉄の増加によって,鉄利用障害を引き起こし骨髄での造血がズムーズに行われず貧血となる。

 

栄養障害

・CKD患者では栄養障害になりやすい。ビタミン,葉酸などの造血に必要な栄養層が不足することで貧血が起こります。


< 検査 >
  • 血算(白血球数,白血球像,Hb,MCV,網赤血球数,血小板数)
  • 鉄代謝指標(血清鉄,UIBC,血清フェリチン値,トランスフェリン飽和度)
  • 便潜血
  • 一般生化学検査(BUN,クレアチニン,LDH,ビリルビン,CRP など)
  • ビタミンB12,葉酸,亜鉛,銅
  • クームス検査,ハプトグロビン
  • 血清蛋白分画,尿中ベンズジョーンズ蛋白,血清免疫グロブリン
  • 甲状腺機能
  • 血中EPO(エリスロポエチン)濃度
  • 骨髄検査(造血系疾患が疑われる場合)