PTH

PTHについて

ホルモン名:パラソルモン
(parathormone:PTH)

分子量=9,500

タンパク質=ペプチドホルモン(84個のアミノ酸で構成)

<PTHの管理目標>

intact-PTH 60 pg/mL~240 pg/mL
whole-PTH 35 pg/mL~150 pg/mL

※健常者のintact-PTH 10~65pg/mL

 


< 生理作用 >

血清カルシウム濃度が低下すると分泌されて,血清カルシウム濃度を保つホルモン。

=骨からのリン酸カルシウムの遊離を促進
=腎からのカルシウム排泄を抑制し,リン酸の排泄を増加
=腎でのビタミンD活性化(25-ヒドロキシビタミンDの1-ヒドロキシル化)反応を促進

 


< 性質 >
副甲状腺は上皮小体とも呼ばれ,その主細胞からホルモンが生産分泌される。
甲状腺の背面に付着した楕円板状の器官で上下4個ある。

〔分泌低下〕

  • 副甲状腺機能低下症=テタニー,低カルシウム高リン血症

 

〔分泌過剰〕

  • 副甲状腺機能亢進症=高カルシウム低リン酸血症,尿路結石,線維性骨炎

 

〔分泌調節〕

  • 血中カルシウム濃度低下により,生合成および分泌が促進

 

〔その他の働き〕

  • 細胞内カルシウム上昇:細胞傷害,カルシウム沈着,動脈硬化,心機能障害
  • 貧血
  • 皮膚掻痒症

 


< 解説 >

=PTHの分泌

PTHは血清カルシウムに反応して,低下すると分泌が刺激される。腎不全になって,そのような状態が持続すると,副甲状腺からの分泌が亢進し,反応が鈍くなるとともに,血清カルシウムが正常値でもPTHが過剰分泌状態となってしまう。

=Ca,P,PTHと生命予後の関係

血清リン濃度が高値ほど1年間の死亡リスクは高くなるが,血清カルシウム濃度と1年間の死亡リスクでは,極めて高値でなければ生命予後には影響しない。
副甲状腺ホルモン濃度と生命予後の関係でも高値になっても必ずしも生命予後が悪くなってはいないようです。

=管理目標

リン>カルシウム>PTHの順に優先することが推奨されています。