ダイアライザーの構造(その1)

ダイアライザーの構造(その1)

透析膜(ダイアライザ:dialyzer)

ダイアライザのイメージ図

内径:175~220μm
膜厚:15~50μm
有効長:10~30cm
膜面積:0.2~2.5㎡
本数:3,000~15,000
血液充填量:50~150mL
滅菌法:高圧蒸気滅菌(AC),ガンマ線滅菌

※これらの値は一般例であり,製品によって異なります。

 

ダイアライザーは左右の区別はありませんが向流になるように色分けされています。一種の「フールプフール」です。

※フールプフール=誤った使い方をしても利用者や周囲の人へ危険や損害を生じさせないような設計のこと

 


中空糸のイメージ図

ダイアライザーの中空糸イメージ図

ダイアライザー内は,この中空糸が束にまとめられおり,中空糸内には血液が流れ,中空糸の外側に透析液が流れるようになっています。これは,向流(向かい合って流れること)にすることで拡散が効率よく行われるためです。
※向流 ⇔ 並流

向流:濃度差が常に確保されるので拡散の効率がよい
並流:濃度差を確保できないため拡散の効率が悪い

 


ダイアライザーの素材

セルロース系=植物繊維

  • 再生セルロース(RC)
  • 表面改質膜(MRC)
  • 酢酸セルロース(CA)

 

合成高分子系=石油系原料

  • ポリアクリルニトリル(PAN)
  • ポリメチルメタクリレート(PMMA)
  • エチレンビニルアルコール(EVAL)
  • ポリアミド(PA)
  • ポリエステル系ポリマーアロイ(PEPA)
  • ポリエーテルスルホン(PES)

 


ダイアライザーの役割

透析液と血液がダイアライザーの中で半透膜を介し拡散・濾過を行う。

※透析の原理は,「拡散」+「濾過」+「浸透」です。


ダイアライザーに要求される性能条件
  • 高い溶質透過性
  • 高い透水性
  • 高い機械的強度
  • 可滅菌性
  • 良好な生体適合性

ダイアライザーの分類
  • 膜形状・・・(中空糸,積層型)
  • 膜素材・・・(セルロース系,合成高分子系(PAN,PSなど))
  • 膜構造・・・(均質構造,グラジエント構造など)
  • 機能・・・(β2-MGのクリアランス,特定機能など)
  • 滅菌・・・(AC,γ線)

ダイアライザーの性能比較で使われる指標

溶質透過性評価

  • クリアランス(CL)= 尿素のように,透析液に成分が含まれないものの指標
  • ダイアリザンス(DB)= 透析液に成分が含まれるものの指標

 

透水性評価

  • 濾過係数(LP)
  • 限外濾過率(UFRP)

 

溶質分離特性評価

  • ふるい係数(SC)= 透過の程度を表す指標

 


使用方法

血液回路を使用し血液と透析液を向流になるようにダイアライザーを設置する。